「エアコンをつけたまま寝ると体に悪い」「3時間タイマーで切るのが健康的」——そう教わって育った人は多いはずです。しかしこの常識は、近年の猛暑ではっきり逆転しました。
今年の夏も各地で熱帯夜が続き、調査では今夏の睡眠に不満を持つ人が半数を超え、夜間の熱中症に不安を感じる人は20代で6割にのぼると報告されています。もはや夜の暑さは「寝苦しい」で済む話ではなく、睡眠の質と安全の両方の問題です。
タイマー派の寝室で起きていること
メーカーの実測データでは、3時間タイマーでエアコンが切れた後、寝室の温度は上がり続け、明け方には30度を超えるケースが示されています。夜中に暑さで目が覚める「中途覚醒」の多くは、まさにこのタイマー切れの後に起きています。
人の眠りは、深部体温が下がる過程で深くなります。室温が上がると体は汗をかいて体温を下げようとしますが、湿度の高い熱帯夜では放熱がうまくいかず、眠りが浅くなる。「朝起きたらぐったりしている」のは、寝ている間ずっと体が暑さと格闘していたからです。
さらに近年は、就寝中の熱中症が実験・報道の両面で警告されています。寝ている間は暑さへの自覚が働かないため、気づかないまま危険域に入るのが夜間熱中症の怖さです。
「つけっぱなし」の設定3か条
① 設定温度は26〜28度、下げすぎない
つけっぱなしで問題になるのは「冷えすぎ」です。目安は26〜28度。朝起きて体がだるい・喉が痛い場合は1度ずつ上げて、自分の適温を探ります。パートナーと適温が違う場合は、暑がりの側に合わせて、寒がりの側が寝具で調整するのが定石です(掛けるものは足せるが、暑さは我慢できないため)。
② 風は体に直接当てない
風の直撃は体表を冷やしすぎ、だるさの原因になります。風向きは水平か天井向きに。サーキュレーターを併用して部屋全体の空気を回すと、設定温度が高めでも快適に保てます。
③ 湿度を意識する(除湿の併用)
同じ28度でも湿度50%と70%では体感がまるで違います。眠りに効くのは温度と同じくらい湿度。湿度が高い夜は除湿モードの併用や、吸湿性の高い寝具・パジャマへの切り替えが効きます。
電気代の心配は「一晩十数円」の話
つけっぱなしをためらう最大の理由は電気代ですが、メーカーの試算では、タイマーで切った場合との差は一晩あたり十数円程度とされています。夜中に目が覚めて失う睡眠の質と、日中のパフォーマンス低下を考えれば、十分に割に合う投資です。
暑さ対策をしても眠りが浅いなら
室温を整えるのは睡眠の「環境」の話です。環境を整えても眠りが浅い場合、原因は行動側——就寝時刻のばらつき、寝る直前までのスマホ、夕方以降のカフェイン——にあることが少なくありません。自分の弱点がどの領域にあるかは、行動の傾向から特定できます。