「スマホの画面を白黒にすると、使いすぎが減る」。SNSや勉強法の記事でよく見かける方法です。設定ひとつでできるので試しやすい反面、「本当に効くの?」「すぐ慣れて元に戻るのでは?」と気になる人も多いのではないでしょうか。
この記事では、画面を白黒(グレースケール)にした実験を論文の要旨で5本確かめ、わかったことと、わかっていないことを分けて整理します。あわせて、iPhone・Androidの設定方法と、寝る前だけ白黒にする方法もまとめます。
結論 — 使う時間は1日20〜38分減った。ただし、開く回数は変わらなかった
大学生などを対象にした実験では、画面を白黒にした期間のスマホの使用時間が、1日あたり約20分〜約38分減りました。一方で、スマホのロックを解除する回数は変わらなかった研究もあり、「つい手に取るクセ」までは消えないようです。
また、白黒にしても睡眠の質や作業のはかどり具合は変わらなかったという結果も出ています。白黒は「開いたあとにだらだら続けにくくする」方法であって、それだけで夜の過ごし方が全部変わるわけではありません。
白黒にした実験でわかったこと(5本)
| 研究 | 対象と期間 | 主な結果 |
|---|---|---|
| Holte・Ferraro(The Social Science Journal、2020年オンライン公開) | 大学生161人。うち73人が8〜10日間白黒に | 使用時間が1日平均37.90分減少。SNSとネット閲覧は減ったが、動画の時間は変わらず |
| Holte・Giesen・Ferraro(Current Psychology、2021年オンライン公開) | 大学生133人。うち63人が白黒に(2回の来所の間) | 使いすぎの度合い・不安・使用時間が減少。落ち込みの度合いは変わらず、不安の減り方は小さい可能性 |
| Dekker・Baumgartner(Mobile Media & Communication、2024年) | 84人。1週間ふつうに使い、次の1週間を白黒に | 使用時間が1日約20分減少。ロック解除の回数は変わらず。使いすぎの感覚・ストレスは減ったが、作業のはかどり具合と睡眠の質は変わらず |
| 中村ほか(九州大学、2025年) | スマホゲームのプレイヤー84,325人。1か月間 | 白黒と10秒の待ち時間を組み合わせると、1日のプレイ時間が最大30.8%、続けて遊ぶ人の割合が最大40.4%減少 |
| Rahmillahほか(Transportation Research Part F、2025年) | 運転する人・歩く人。2週間白黒に | 運転中にホルダーの画面へ目をやる回数は減ったが、スマホを手に取って見る回数は変わらず。白黒を避ける工夫をする人もいた |
5本とも「白黒にすると、スマホが少し楽しくなくなる」という方向ではそろっています。Holteらは、色がなくなるとスマホを使うことの満足感が下がり、使う量を自分で調整しやすくなると考察しています。
ただし、どの研究も期間は1〜2週間、長くても1か月です。何か月も白黒にし続けたときに効果が続くかどうかは、まだわかっていません。
減ったのは「開いたあと」の時間だった
5本を並べると、効き方に共通点が見えてきます。
- 減ったもの:使用時間の合計、SNS・ネット閲覧の時間、ゲームを続けて遊ぶ時間
- 減らなかったもの:ロック解除の回数、運転中にスマホを手に取る回数、動画の視聴時間
つまり白黒は、「スマホを開くかどうか」より「開いたあとにどれだけ続けるか」に効いていると読めます。Dekkerらも、ロック解除の回数が変わらなかったことについて、確認するクセが深く根づいているためと考えています。
動画の時間が減らなかったのは、見たい作品が決まっていると、色がなくても見続けるからかもしれません。寝る前の動画がやめられない場合は、白黒よりスリープタイマーで止める方法のほうが確実です。
「スタンフォード大学の研究で70%」は確認できなかった
検索すると「スタンフォード大学の研究によると、画面の色がドーパミンを70%増やす」「スタンフォードの研究で使用時間が約30%減った」といった紹介が出てきます。今回、これに当たる論文を探しましたが、見つけることはできませんでした。
「約30%」という数字は、九州大学のゲーム研究の「最大30.8%」と近いですが、こちらは白黒に10秒の待ち時間を組み合わせた条件の結果で、スマホ全体の使用時間を測ったものではありません。数字だけを見て期待しすぎないほうがよいでしょう。
iPhoneを白黒にする方法
Appleのユーザガイドに沿った手順です。
- 「設定」→「アクセシビリティ」→「画面表示とテキストサイズ」を開く
- 「カラーフィルタ」をタップし、「カラーフィルタ」をオンにする
- 「グレイスケール」を選ぶ
ボタン3回押しで切り替える:「設定」→「アクセシビリティ」→「ショートカット」で「カラーフィルタ」を選んでおくと、サイドボタン(ホームボタンのある機種はホームボタン)を3回続けて押すだけで、白黒とカラーを切り替えられます。写真を見るときだけカラーに戻す、という使い方ができます。
なお、Appleのガイドには、カラーフィルタを使うと画像やビデオの見た目が変わる場合があると書かれています。また、夜に画面を暖色にする「Night Shift」は、ほかのカラーフィルタの効果を取り除きますが、グレイスケールはそのまま残ります。
Androidを白黒にする方法(寝る時間だけ自動で)
Androidは、Googleのヘルプにある「おやすみ時間モード」を使うと、決めた時間帯だけ自動で白黒にできます。
- 「設定」→「Digital Wellbeing」→「おやすみ時間モード」を開く
- オンにするタイミングを選ぶ。「スケジュールを使用する」なら開始・終了時刻と曜日を設定。「充電中は ON にする」なら、設定した時間帯に充電を始めるとオンになる
- 「おやすみ時間の画面オプション」で「グレースケール」をオンにする
Googleのヘルプでは、メニューの名前や項目は機種によって異なる場合があるとされています。見つからないときは、設定アプリの検索欄で「おやすみ時間」や「グレースケール」と入れてみてください。
白黒を効かせる使い方
研究の結果をふまえると、白黒は単独で使うより、「開く回数」を減らす工夫と組み合わせるのが向いています。
- 寝る1時間前から白黒にする:Androidはおやすみ時間モードで自動に、iPhoneはボタン3回押しで切り替えます。夜のSNSやネット閲覧をだらだら続けにくくなります
- 開く回数は通知と置き場所で減らす:白黒ではロック解除の回数が減りませんでした。寝る前は通知を切る、スマホをベッドから離れた場所で充電する、のほうが効きます(寝る前のスマホがやめられないときの対策)
- 色が必要な場面だけカラーに戻す:地図、写真、色で区別するグラフなどは白黒だと見づらくなります。我慢して使い続けるより、ボタンひとつで戻せるようにしておくと長続きします
- 動画はタイマーで止める:動画の視聴時間は白黒では減りませんでした。寝落ちしそうな夜は、再生を止めるタイマーを先にかけておきます
よくある質問
スマホを白黒にすると、本当に使う時間は減りますか?
白黒にすると、よく眠れるようになりますか?
すぐに慣れて効果がなくなりませんか?
iPhoneで決まった時間だけ白黒にできますか?
参考:Holte AJ, Ferraro FR. "True colors: Grayscale setting reduces screen time in college students." The Social Science Journal. 60(2):274-290/Holte AJ, Giesen DT, Ferraro FR. "Color me calm: Grayscale phone setting reduces anxiety and problematic smartphone use." Current Psychology/Dekker CA, Baumgartner SE. "Is life brighter when your phone is not?" Mobile Media & Communication. 2024;12(3):688-708/九州大学「スマホゲームの遊びすぎ防止効果を8万人で検証」(Nakamura Y, et al. Proc. ACM IMWUT. 2025;9(1))/Rahmillah FI, et al. "Can greyscale phone screens reduce mobile use while driving and walking?" Transportation Research Part F. 2025;114:498-512/Apple「iPhoneの画面の色を変更して画面上にあるものを見やすくする」「iPhoneでアクセシビリティ機能のオン/オフを素早く切り替える」/Google「おやすみ時間モードで睡眠の質を向上できます」。いずれも2026年10月24日に確認。