脳と集中

集中力は何分続く?「15分しか続かない」の元をたどると、裏づけは乏しかった。15・45・90分の出どころと、区切り方

DetoxNews編集部 / 2026.10.20 公開
机に向かう人の頭上に、時計と、途切れながら続く点線のグラフが描かれたフラットイラスト

「人の集中力は15分しか続かない」「45分が限界」「90分周期で切れる」。勉強法や仕事術の記事でよく見る数字ですが、どれが本当なのでしょうか。

この数字の元をたどると、意外な結論にたどり着きます。根拠になった研究を確かめたうえで、実際の勉強や仕事でどう区切ればよいかを整理します。

結論 — 「◯分で切れる」と決まった上限は、研究では確かめられていない

大学の講義で学生の集中がどのくらい続くかを調べた研究を見直した論文は、「10〜15分で注意が落ちる」という通説を支える一次データは乏しいと結論づけています。別の研究では、集中は一定時間で一気に切れるのではなく、短い「途切れ」と回復を繰り返しながら、だんだん途切れやすくなっていく様子が記録されました。

つまり、「15分」「45分」「90分」は覚えやすい目安ではあっても、脳の決まった限界ではありません。集中が切れるまでの時間は、内容、やり方、その日の眠気で変わります。

「15分説」の元をたどった論文

項目内容
論文Bradbury NA. "Attention span during lectures: 8 seconds, 10 minutes, or more?" Advances in Physiology Education(2016年)
何をしたか「講義開始から10〜15分で学生の注意が落ちる」という通説について、元になった研究を調べ直した
わかったこと通説に触れる文献は多いが、実際に測った研究はごくわずか。最もよく引用される出典は、学生の注意についてほとんど論じていなかった

論文の要旨によると、注意を測ろうとした研究の多くも、方法に問題があったり、観察する人の主観に頼っていたりしました。そのため著者は、手元にある一次データは「10〜15分の限界」という考えを支持しないとしています。

著者が文献を見直して最も一貫していたと述べているのは、学生の注意のばらつきは、授業の形式よりも「先生の違い」から生まれるという点でした。同じ内容でも、伝え方しだいで集中の続き方は変わるということです。

要旨は、この「常識」をもとに講義を15分に短くした教育機関もあると指摘しています。

実際に測ると — 集中は「途切れ」を繰り返しながら落ちていく

米国の大学で化学の授業を受ける学生に、集中が途切れたと感じたらその場でクリッカー(手元のボタン)を押してもらった研究があります(Bunce, Flens, Neiles, Journal of Chemical Education, 2010年)。

この研究は学生本人の申告によるもので、授業という特定の場面の結果です。それでも、「15分たったら急に切れる」ではなく、「小さな途切れが少しずつ増えていく」という見方のほうが、実際の感覚にも近いのではないでしょうか。

「45分」「90分」はどこから来たのか

「45分」は、日本の小中学校の授業時間(小学校45分・中学校50分)と結びつけて語られることが多い数字です。授業時間は学校の制度で決まっているもので、脳の限界から決められたわけではありません。

「90分」は、眠っている間にレム睡眠とノンレム睡眠がおよそ90分の周期で入れ替わることから、昼間の集中にも同じ周期があると考える説に由来します。睡眠周期の90分という数字そのものも、人や夜によってばらつきます(90分サイクルの俗説を検証した記事)。そのうえ、昼間の集中が90分で必ず切れることを示した研究は、今回確認できませんでした。

では、どう区切ればいいのか

決まった上限がない以上、「何分」にこだわるより、途切れが増えてきたサインで区切るほうが実用的です。

  1. 同じ作業を長く続けない:Bunceらの研究で途切れを減らしたのは、休憩より「やり方を変えること」でした。読む→問題を解く→声に出して説明する、のように作業の種類を切り替えます
  2. 途切れのサインを決めておく:同じ行を何度も読む、スマホに手が伸びる、などに気づいたら区切りどきです
  3. タイマーは「上限」ではなく「確認」に使う:25分や45分のタイマーは、続けるか休むかを確認するきっかけとして使うと、数字に縛られずにすみます
  4. 眠気があるなら、まず眠気を片づける:睡眠不足のときは、どんな区切り方をしても集中は続きません。昼の短い仮眠は昼寝は何分がいいかでまとめています
  5. スマホは視界の外へ:通知や「ちょっと確認」が、短い途切れを長い途切れに変えてしまいます。スマホと脳の関係も参考にしてください
POINT 「集中力は15分で切れる」という通説は、元になった研究を見直した論文で「一次データの裏づけが乏しい」とされています。実際に測った研究では、集中は一気に切れるのではなく、1分以内の短い途切れを繰り返しながら、だんだん途切れやすくなっていきました。何分で区切るかより、作業の種類を切り替えること、途切れのサインに気づくことのほうが効果的です。

よくある質問

集中力は15分しか続かないというのは本当ですか?
講義中の学生の注意について研究を見直した2016年の論文は、「10〜15分で注意が落ちる」という通説を支える一次データは乏しいと結論づけています。集中が続く時間は、内容ややり方、その日の眠気によって変わります。
15・45・90分の法則に根拠はありますか?
それぞれ、講義の通説、学校の授業時間、睡眠の周期から来た目安で、昼間の集中の限界を実験で示したものではありません。区切りの目安として使うのはかまいませんが、数字どおりに集中が切れるわけではありません。
集中が途切れたら、休憩したほうがいいですか?
短い途切れなら、作業の種類を切り替えるだけでも戻ることがあります。授業の研究では、講義の途中に問題や実演を挟むと、集中の途切れが少なくなりました。眠気が強い、同じ行を何度も読む、といった状態が続くなら休憩をとってください。
大人と子どもで集中できる時間は違いますか?
「何歳なら何分」という決まった数字があるわけではありません。子どもの場合も、内容や環境、睡眠の状態で大きく変わります。

参考:Bradbury NA. "Attention span during lectures: 8 seconds, 10 minutes, or more?" Adv Physiol Educ. 2016;40(4):509-513/Bunce DM, Flens EA, Neiles KY. "How Long Can Students Pay Attention in Class? A Study of Student Attention Decline Using Clickers." J Chem Educ. 2010;87(12):1438-1443。

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